かき足りません、飽くまでは

雑記。主に鑑賞した映画について書いてます。

『光をくれた人』ネタバレ有り感想

原題:The Light Between Oceans
上映時間 : 133分
監督・脚本:デレク・シアンフランス
原作:M・L・ステッドマン
撮影:アダム・アーカポー
美術:カレン・マーフィ
衣装:エリン・ベナッチ
編集:ロン・パテイン、ジム・ヘルトン
音楽:アレクサンドル・デプラ
出演:マイケル・ファスベンダーアリシア・ヴィキャンデルレイチェル・ワイズ

ネタバレ無しあらすじ

第1次世界大戦後のオーストラリア。孤島ヤヌス・ロックに灯台守として赴任した帰還兵トムは、明るく美しい妻イザベルと幸せな日々を送りはじめる。やがてイザベルはトムの子を身ごもるが、立て続けに流産と死産に見舞われてしまう。

そんな矢先、男性の死体と生後間もない赤ん坊を乗せたボートが島に流れ着く。赤ん坊に心を奪われたイザベルは本土に報告しようとするトムを説得し、赤ん坊にルーシーと名付けて我が子として育てはじめるが……。

(以上、映画.comより引用)

どうでもいい前書き

僕は基本的には『ファイトクラブ』とか『ゴッド・オブ・ウォー』みたいな、ガチムチおじさんが唸ってる世界観が俄然好きな男。

立派なブツを持ってるスティーブジョブズ、ことマイケル・ファスベンダーとノリにノってる美女優アリシア・ヴィキャンデルの、リアル交際カップル出演の感動作.....

なんてどう考えてもスルーする気満々でした。

ところがどっこい。

あの地獄夫婦映画『ブルーバレンタイン』と良作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』を撮ったデレク・シアンフランス監督の新作と聞いて

「これはただのお涙頂戴デートムービーじゃないカモ....?」

ってことで、観てまいりました。

ここからネタバレありの感想です!

感想

70点 確かに良いんだけど....もうちょい毒が欲しい!

劇場の入りは2割ほどで、おじさま、おばさま率高かったです。

ネタバレ有りあらすじ

いちおう、結末部までざっくり展開を書いておきますと

ルーシーちゃんを『八日目の蝉』ライクに育ててたんですがやはり、実の母親であるハナと出会っちゃいまして。

どうしてもトムが良心の呵責からポロポロ手掛かりを残してしまい、結局ハナに発覚。

トムが投獄されたり、ハナはせっかく戻ってきた娘が懐いてくれなかったりあったものの、「赦し」の大切さ的なキリスト教テーマを経て、最終的には夫婦の絆も深まり、ハナは娘がまぁまぁ懐いてくれるようになり。

最後は時を経て成長した娘がトムの元(イザベルは既に他界)を訪れてほっこり終わってました。

 

GOOD

  • 画作り(陰影、色彩、画面構成)
  • キャスト陣
  • 演出(とそれに伴う監督のキューピッド力)

 画作り(陰影、色彩、画面構成)

まず、画作りが良い。シアンフランス監督は過去作から一貫して画面が良いですね。「今、俺は映画を見てる!」感がビンビンと言いますか。。(低い語彙力)

ブルーバレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』から今作と撮影監督はそれぞれ別の方みたいなんですが、確実に「シアンフランスの画面」があると思いますね。

あと何より、顔のクロースアップの使い方。今作と同じ夫婦映画ブルーバレンタイン』のときもそうでしたが、

良く解釈すれば「二人だけの世界」

悪く解釈すれば「逃げ場のない密室空間」

な関係性が、すごく伝わってくるんですよね。

今作の前半部、カップル二人の馴れ初めから結婚に至るまでは「二人だけの世界」として微笑ましく描かれます。

それが問題が起こり始め、二人で葛藤し決断していかなければならない、となり始めてくると一転、孤島ヤヌス・ロックの舞台設定も相まって「逃げ場のない密室空間」化していくんですよ。

その空気感がシフトし始める辺り(三部構成でいうと一部と二部の転換点)は非常にスリリングでした。

キャスト陣

皆良かったです。メインの夫婦二人もハナ役レイチェル・ワイズは当然ですが、娘役の女の子の自然な感じもとても良かった。子役の扱い方は後述の演出にも関係すると思います。

演出(とそれに伴う監督のキューピッド力)

ブルーバレンタイン』で夫婦喧嘩のリアルさを出すために、撮影してない時でも夫婦役二人には口喧嘩をさせてた、らしいシアンフランス監督。今作でも実際にロケ場所で寝泊まりをして、実際にそこで生活をしながら撮影したそうです。

その甲斐あってか、画面に映っている人たちが虚実の皮膜のなかにいる感じがスゴいというか、役者どうしの間に漂う空気の実在感が出ていると思います。

この演出法に関しては、シアンフランス監督は恋のキューピッド力がスゴいという話があって。

マイケル・ファスベンダーアリシア・ヴィキャンデルはこの作品の撮影中にリアルに交際し始めたわけですが、プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』でもライアン・ゴズリングエヴァ・メンデスが実際に結婚するに至ってます。

監督の次回作がどのようなものになるかはまだわかりませんが、連続キューピッド記録が更新されるかは注目ポイントの一つになりそうです。

BAD

もっと毒が欲しい!

これは受け手である僕側にも依ったところだと思うんですが、正直終盤にかけて少し冷めていってしまったというか。

夫婦の空気感が不穏にシフトしていく辺りがスリリングというのは前述しましたが、逆に終盤にかけての、「赦し」を巡る展開に個人的には何故かノリきれなかったですね。勿論、差別・迫害・移民の問題とか筋としては全然わかるんですけど....

多分、登場人物が割とみんなしっかり善人に僕的に感じたのが原因かと思います。あまりにスッキリ落としどころに収まり過ぎているというか。

いかんせんこの点に関しては観た方による個人差が大きいと思います。前書きにも書きましたが、僕はゴッド・オブ・ウォーとか好きな人間なので。無慈悲成分が足りなかったと言うか。

だから逆に言うと、この「話の落とし所、スッキリ過ぎ問題」さえ飲み込める人ならば、とても大事な一本になり得る作品なんじゃないでしょうか。

総括

と言うわけで全体で見るとやっぱり良い作品だと思いました。

ブログ始めました。

こんにちは。あかぎれマン(id:akagireman0)です。

ブログ開設ということで、簡単な自己紹介と、このブログの現時点で考えてる方針について書いておきたいと思います。

自己紹介

20代前半(2017年現在)の男です。趣味は映画鑑賞、ゲーム(主に洋ゲ)

中高一貫男子校出身です。あと、無愛想なのか普通にしてるつもりでも「怒ってる?」ってよく言われます。

このブログについて

このブログでは主に映画の鑑賞記録を書いていこうと思います。映画は観てるときも楽しいですが、後になって思い出してるときや、観た人どうしで語り合ってるときの楽しみもかなり大きいと僕は考えています。

そこで、このブログがそうした楽しみ方の助けになればいいかな、というのが現状での考えです。

当面は映画がらみの記事をあげていく予定ですが、それ以外のトピックでも書きたいことが出てくれば、気にせずガンガン記事にしていくつもりです。